ひみつの琴子さん【修正 & side story完結】
「何日か前です。仲良さげに並んで選んでたじゃないですか!
それに、中庭でも抱き合って…」

「ストップ!
それ…誤解だから。指輪は海外赴任中の兄の代役だし、抱き合ってなんかいない」

でもっ!と必死になる私に、口角を上げ

「避けられてると思ってたら、やきもち焼いてたんだ?」

「ち、ちが…う…」

チュッ…

突然、頬にキスされた。

「えっ?あ、あの…」

一人焦る私に、真剣な表情の矢神さんが続ける。

「今日、17時半。中庭で待ってて」

私の耳元で、早口に言うと、

「平川さん、この書類に目を通し、ご納得いただけたら、署名と捺印をして返して下さい」

仕事モードにシフトした矢神さんが、大きめの声で言った。

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