ひみつの琴子さん【修正 & side story完結】

男の苦悩

コンコン…

「入ってくれ」

控え目なノックの後、第一秘書の鈴村が入ってきた。

「…どうぞ」

A4の茶封筒を差し出す。

早速、中身を確認し…落胆する。

「これだけか?」

「…はい。大学入学以前の足取りが、
分かりません。

その道のプロに依頼したのですが、転居を繰り返していまして、つかめないのです」

「……」

「……」

ふむ…

「鈴村…どう思う?」

うつむく鈴村に問いかける。

「憶測でしかありませんが、 "涼子さん"に非常に似てらっしゃいます」

「そうか…きみもそう思うか…

下がっていい。少し一人にしてくれ」


パタン…


鈴村が部屋を出て行くと、椅子に深々ともたれ、溜息を吐いた。

「分からない…か」


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