オフィス・ラブ #another code
「ソリューションのほうに行きたいんだよな」
「新庄さんも、将来のこととか、考えるんですか」
驚いたような声を出す恵利に、自分はいったいなんだと思われているんだろうと不思議になった。
久しぶりにたっぷりと一緒に過ごせる年末年始を満喫し、珍しく健全に、もう寝ようとベッドに入り、最後の一服をしているところだった。
「まあ、システムが落ち着いたら、だから。いつになるかわからないけど」
「私は営業以外だったら、何をやりたいかなあ…」
「メディア局は? 石本さんみたいな」
「うーん、でも、せっかくならまったく違う仕事がいいですねえ。ライツとか」
版権管理か。
確かに、面白そうな部門だし、他店に比べて弱いので、開拓のしがいもある。
新庄自身は、いずれまた、クライアントを持つ部署に行きたいと考えるようになっていた。
マーケで言えば、新庄のいたアドテクではなく、ソリューショングループ本体のほうだ。
別に営業でなくてもいい。
ただ自分の仕事の結果がどこに影響を及ぼすのか、それが間近に見える場所のほうが、自分の肌に合う気がした。
今の仕事は今の仕事で面白く、手放したくないのだが。
クライアントのためにと全員で意識を合わせ、定めた目標に向かっていく、あの独特の一体感をまた味わいたかった。
こんな話を彼女にすることになるとはなあ、と横でカタログを眺める姿を見やる。
何がどうしてこうなったのか、気づけば彼女の上司だったのは、一年以上昔のこととなり。
その一年、誰よりも近い存在として、彼女は自分のそばにいた。