オフィス・ラブ #another code
ゆうべ、依頼したとおり、彼女の同期の女性社員が無事を確認してくれた。

たいそう気の強いその雑誌局員は、新庄につかみかかる勢いでフロアから飛び出してきて、大塚に何をしてくれたのか、と外見からは想像もできないような凄みで新庄に噛みついた。


いい友人を持っているな、と思った。

それはすなわち、彼女自身も人として、人間関係に恵まれるだけの価値があるということだ。


はい、と電話の向こうから、少し緊張したような声がした。

外出しているらしく、少しの雑多な物音が背後に聞こえる。

出られるくらい元気なら、よかった。



「よく、休めたか」



そう言う自分の声は、安堵のためか、思うよりも明るい気がした。





「一週間、待ってくれるって」

「申し訳ないです」



いや、明らかに向こうの無理だから、と課長が何も気にしていないように笑う。

あまりに急な異動なので、引き継ぎ期間として数日の猶予がほしいと、受け入れ部署に要請してもらったのだった。



「月の締め処理に問題なければ、少しでも代休取得してから移ってほしいんだけど」



そう言ってくれる課長に、月末の処理の残りを頭で計算した。

今日、済ませてしまえる範囲だ。



「明日、とります」

「そしてそんな中、お願いなんだけどね」



かぶせるように陽気に言われ、はあ、という声が出た。

この課長は、たまにとんでもないことを言いだすので、油断できない。

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