オフィス・ラブ #another code
結果としては、新庄たちの推した論が採用され。

反対派は悔しそうにしながらも、確かにそうだと納得しあい、今後の具体的な改良へと話は進み。

けれどそのあたりからは、酒も手伝って、すっかり飲み会の風情になっていた。



「お前、飲まないとか言って、相当飲むじゃないか」

「飲めないわけじゃ、ないんですよ」

「でも、これまでも、そんなに飲んでなかったよなあ?」



チームメイトに突っこまれる。

確かに、新チームでの飲み会はこれが初めてではないが、日頃からこういう場では、あまり飲まないのが新庄だった。

けれど今日は、飲んででもいないと、くだらないことばかり考えてしまいそうで。

手っ取り早くと思い、強い酒ばかりを選んで割りもせず好き放題に飲んでいたら、金食い虫とからかわれた。

立てた片ひざに腕を乗せ、煙草を口に運ぶ。


あれは、どう考えても、前の男だろう。

新庄と同じ車に乗っていて、大塚に車の影響を与えたという、あの男だ。

どういう理由か知らないが、まあ、会っていたんだろう。


自分でも眉が寄るのを意識しながら、煙を吐く。



(何か、言えよ…)



うしろ暗いことがないなら、その場で口を開け。


発言しないのは、いないのと同じだ。

そう教えたろう。


それとも自分は、説明しても聞き入れないような人間だと思われているんだろうか。

そこまで狭量と思われているんだろうか。


けれど実際、そうかもしれないと思った。

言えと言いながら、あの場で彼女が何か言ったとして、自分が聞く耳を持ったとは思えない。

これで元上司とは、笑わせる。

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