同居ノススメ

すると慎太郎が
重たい口を開いた。

「俺さ・・

桃の元カレと同じことを
繰り返してきたんだよね、
いままでの彼女に対して。

1人で抱え込まずに
嫌なことは、
嫌だって言えばよかったし、

ちゃんと向き合わずに、
逃げてばかりで、
ズルいことしてたんだな、と思う」

と言うと

「ん・・・そうなのかな・・・?
同じようで
同じじゃない気がするけど・・」と

少し考えて、慎太郎の足の間で
正座をする形で体の向きを変え、
慎太郎と向き合った。

そうして桃は続けた。

「一方的に捨てられた身だけど、
わたしにもいけないところが
あったんだと思うし、

慎太郎の歴代の彼女たちにも
いけないところが
あったんじゃないかな?

『逃げ出す』方も
たぶんね・・・
楽なようで楽じゃないよね?

少なくとも慎太郎は
相手に少しでも悪いな・・・
って罪悪感、あったよね?」

と聞くと慎太郎は頷いた。

するとまた桃が

「元カレも逃げ出したけど、
それなりに
これから苦しむんじゃないかな?

だってさー
結婚していきなり子どもだよ?

お小遣いは制限されて、
子どもが生まれたら、
邪魔者扱いされて

たぶん、あの奥さんからして、
あの人はそうなる気がする」

と桃は少し残酷なこと口に出し、
ニコッと笑ってみせた。

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