君を選んだから
「向井くん、すげー嬉しそうだったね。良かったじゃん。」

「う、うん。ビックリしたけど、新店チーフが話しやすい相手で良かった。大型新店ってやっぱり大変そうだし。」

「それだけ?」

「え?....... それだけって?」

「何かさ、運命的じゃん。マジですごくない? こんなことってあるんだなぁって、ちょっと感動しちゃった。」

「あぁ、それはそうかもね。」

「お前、案外クールだね。向井くん、あんなにテンション上がってたのに。」

「そうかな?」


そりゃあ、そうでしょ。

必死に冷静なフリしてるんですから。


「ねぇ、向井くんって、当時、お前のこと、好きだったの? 」

「へっ? なっ、なんで?」

「違うのかな? 俺にはそういう風に見えたんだけど。」

「さ、さあね。わかんない。気になるなら、本人に聞いてみれば。」


うっわ、もう心臓止まる。

急に何を言い出すのかと思えば..........


「じゃあ、マジで聞いちゃおっかなぁ。やっぱ気になるし。」

「 いっ、いいよ!! そんなの、今、聞いてもしょうがないじゃん。」

「あれ? 焦ってんの?」

「そんなことないよ。」

「もしかして、お前も好きだったとか?」

「へっ!?」

「あははは..........うそ。ごめん。」

「もう..........。」

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