君を選んだから
「何かさ、向井くん見てたら羨ましくなっちゃったんだよね。素直に嬉しいって顔に書いてあるっていうか、思いきり態度に出ちゃってるっていうか。」


うん、それが匡史のイイところなんだよね。

子供みたいなことしたり、突拍子もないこと言って困らせることもあるけど、いつも素直で自然体。

嘘がないから、まるごと好きになれる。


「それが、匡史だからね。」

「へぇ、『匡史』って呼んでたんだ。」

「あっ..........。」

「お前も『あおい』って呼ばれてたもんな。やっぱ、仲良かったんだね。」

「.......まあまあね。」


うそぉ.......。もう。

何、ミスってんの、私!?


.......あぁ、ダメだ。

すっかり調子が狂ってる。

って言うか、仕方ない。

好きな人に対して、「元カレ」であることを隠したまま何でもない顔で彼の友人について語るなんて、そんなハイレベルな恋愛テク、とてもじゃないけど持ち合わせてないから。


でも、これってしばらく続くんだよね?

何なら、本人を交えてっていうパターンも十分有り得るんだよね!?


素直でわかりやすい匡史が、何を言い出すかわからない。

三人一緒にいる場面で、ゴマかし切る自信がだんだん無くなって来た。


これはマズい。

先が思いやられる..........

< 83 / 188 >

この作品をシェア

pagetop