エリートな彼と極上オフィス
「違う、腫れがって意味」
「ほろおうれぅ」
「…もう何言ってんのかほとんどわからん」
はい、黙ってます。
小さなテーブルの向かいに座った先輩は、何か言いかけようとした矢先にサンドイッチが運ばれてきて、一度出鼻をくじかれた。
オレンジジュースをすする私の前で、しばらくむっつりとサンドイッチをかじり、二つ目を終えるあたりで、あのな、と口を開く。
「昨日、ごめんな」
うおっ、直球だ。
別に先輩が謝ることじゃないのに。
私はふるふると首を振ったけれど、先輩はうつむいていて、見ていなかった。
「ていうか、ずっとごめん」
夏みたいな陽気が続くせいで、このところ先輩は、さっぱりしたワイシャツ姿が多い。
今日も爽やかなブルーのストライプのシャツに、綺麗なネイビーのネクタイ。
「俺、あれからお前とちゃんと話してないの、ずるいよな。昨日も変なふうにむきになって、あー会話不足だなと思った、悪かったよ」
「うぁ」
先輩の真面目さに打たれて、変な声が出た。
ずるいなんて。
そんなふうに、ずっと考えてたんですか。
「俺さあ、お前のことね」
ほぼ同時にふたりとも、店内に目を走らせた。
どこに同じ会社の人がいるともわからないからだ。
幸い、見知った顔はおらず、このテーブルの会話に興味を持っていそうな人も、いなかった。
お前のことね、ともう一度言って、先輩は困ったように眉を寄せて、黙ってしまった。
からころとアイスコーヒーの氷をストローでかき回しながら、難しい顔をしている。