エリートな彼と極上オフィス
要するにこの部屋は、社内でも異端。

改革の使命を負ったチームであり、メンバーは私を入れて、たったの12名。

配属発表の時、人事課長が読み上げながら、すごいところに入るね、と目を丸くしたのも当然だ。


ちなみに志望したわけでもない。

むしろこんな部署の存在、知らなかった。



なんて思い出に浸っていたら、午前中が終わった。

キンコン、とチャイムと一緒に歌いながら作業を続けていると、あらかた人がいなくなった頃、遠慮がちに声をかけられた。



「なあ」



コウ先輩だった。



「一緒に食いに行かないか、その、話したいことあるんだ」

「………」



私は沈黙したまま彼を見上げる。

この歯の有り様で、私がランチに出かけると思っていたんだろうか。

先輩は所在なさげに、スラックスで手をこすったり頭をかいたりと、落ち着かない。

私が立ち上がると、ほっとしたような顔をして、どこ行く、と聞いてきた。



「いらっしゃいませ、ご注文は」

「おえんぃ…」

「え?」

「あ、こいつはオレンジジュースで、俺は…」



近所の喫茶店で、先輩はクラブハウスサンドを注文すると、私に向かって申し訳なさそうにした。



「悪い、そういえば食えないよな」

「いえ」

「なんか、ひどくなってないか、顔?」



…ショック。

落ち込んだ私に、先輩が慌てて取り繕う。

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