甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

月夜の晩に


「お邪魔します」
「おう。あー。腹減った」とネクタイを緩める。
「ビールでいいか?」
「はい」
ダイニングテーブルに私がテイクアウトしたものを温め直し並べた。

ビールとお茶を置かれたので
「課長、お茶?」
「飲んだら送れないだろ」
「あ、確かに」

このまま一緒にお酒を飲んでゆっくり話す、そんな時間が過ごせるものだと思ってた。
調子にのってるな。そんな関係でもないのにと反省する。

「ていうか、まだ食えるんだな」とチキンを頬張る私を見て笑った。
「不思議と入っていきます。デブの習性ですかね」
「言うほど、お前太ってない思うけど」と真顔で言うので、なぜか恥ずかしくなる。

しばらく中村が反省してたことや仕事について話をしてたけど、一瞬、沈黙が落ちた。

私は、若槻に言われたことを知らない振りはできなくて正直に切り出した。
「……あ、そういえば。この前、課長の家に来てたの、若槻だったんですね」
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