甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

わざとからかうと
「ん?」と考えるような顔をしてから、思い出したように
「何言ってんだ。お前の箸が下手くそすぎだからだろ。笑わせたのは、お前だ」
「え? あ、見てたんですか。あれ」
課長達の会話に動揺してオードブルが上手く取れなかった。

「同じもの何度も掴んでは落とすんだからな」
「あれは理由があって、気まずかったからですよ。課長は持田さんのことどう思いますかみたいな合コンみたいな話をしてたから、動揺して」
「どこが動揺する話なんだよ」
さっぱりわからないというように眉根を寄せた。

「だってあんな可愛い子から好意もたれたら、その気になるかなとかあの時は思ったんです。でもいいんです。課長の気持ちはわかってますから。今は何も疑っておりませんから」
と誤解されないようにと早口で弁明する。
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