甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

「そうだな。そんなことで勝手に疑われたら迷惑だ」
言い切るので、私は、ふはっと笑いが零れた。

「昼間、悪かったな」と課長が謝る。
「え?」
「話、中途半端だったから」
電話で話が途中になったことを気にかけていたようで、私は、思い切り首を横に振った。

「いいえ、もう十分です。十分すぎました」
「はっ?」と顔をしかめるのだけど、私は今、胸がいっぱいだった。

「それに若槻にも、課長と付き合ってること言えましたし。拍子抜けするくらい普通というか、あ、ちょっとからかわれたかな。はは」
「へえ。そいつは良かったな」
「あ、棒読み。興味ないって顔してますね」
「そうだな。俺は別にどっちでもいいし。お前らの問題だしな」
「ですよねー。ですよねー。そう言うと思ってました」
口を尖らせる。お茶のペットボトルを軽く揺らすと太ももにぶつかった。
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