甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

「ののちゃんね。そうだ。同じ会社なんだよね。会うの久しぶりだなー。元気にしてるの?」
「はい。ちなみに若槻、明後日、結婚式なんですよ」
「え、そうなの? 本当に? あー、そうなんだ。ののちゃんのウェディングドレス綺麗だろうな」と目を細めた。
「間違いないですね。会社の男が何人泣いたことか」
「ね。泣くよね。本当、美人姉妹だったなぁ」と呟くので、急に切なくなった。

「小千谷ちゃんはどうなの? 矢嶋くんと結婚の話とかするの?」
「結婚というか……はい、えっと、顕が地元に帰るそうで、それに着いて行くことにしました。」
「えー? そうなの? よく決めたね」
やはり顕が地元に帰ることを知っていたようで、そこについては触れなかった。
関心するように言うので、それを決断したときの自分を思い出し、後ろめたさを感じて
「ちょっと迷ったんですけどね」と白状する。
「うん、秋田だもんね、秋田。それは迷うよ」
私だったら、なんか想像つかないなー。できれば行きたくないかもと言う。
住み慣れたところが一番とは言わないけどさと。
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