甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

「いやあ、夢だったんだよ。あいつの彼女とこうして幼い頃の顕人を一緒に愛でることが」と感慨深そうにアルバムをめくった。
確かにそんなことをしようとしたら、顕に全力で止められそうだし、もしかしたら、今までもそうしようとして止められてきたのかもしれない。
想像ができて、クスクス笑ってしまった。

おくるみにくるまれた赤ちゃんの写真が目に飛び込んできて
「うわぁ、可愛い」
「だろう、だろう」と得意げに言う。数ページめくっていくと、今の面影を残したあどけない少年の姿に変わる。

「この頃からボトルシップとか好きで作り始めてさ、作業中に遊びたくて声をかけると、近寄るなとか言い始めるようになったんだよなー。
兄貴はガサツだから、パーツなくされるとか言い始めて。
昔は兄ちゃん、兄ちゃん言って本当に天使だったのになぁ。いや、今も可愛いんだけどさ」と昨日のことのように、切なげに目を伏せた。

「ふふふ。でも、なんだかんだすごい頼りにしてますよ。永史さんがいるから、安心して戻ってこれる部分もあるんだと思います」
言いながら、本当にそうだなと感じていた。
彼の周りには愛を注ぎ、力を貸してくれる存在がいる。そんな環境にいられることは本当に素晴らしいことだと思う。
自然とこの場所に惹かれるのは、それを感じやすいからなのかもしれない。

永史さんは黙ったあと、「ありがとう」と言った。
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