甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

「うんうん、一緒に参加させて。顕に言っておくよ。あ、若槻も来るんでしょ?」
「来てくれるって言ってたっす。そういや、小千谷さん達は挙式予定ないんすか?」
「挙式? ああそうだね。今のところ予定ないかな」
「そうっすか。二人の結婚式、参加したかったなぁと思ってたから」
「うん。でも、中村に結婚式みたいな素敵な写真撮ってもらえたから、もうそれだけで満足だよ」と棚に飾ってある写真立てを手に取った。

そこにある若槻の結婚式に撮影された写真は、ブーケを持つ私と顕の自然な笑顔が切り取られていて、とても気に入っていた。

真唯子ーと隣の部屋から顕の声がした。
「あ、ごめん。出かけなきゃいけないんだ。またね。加賀くんによろしくね」
「はーい。課長によろしくっす」と電話を切った。

ちぃちゃん(娘、一歳三ヶ月)をチャイルドシートに乗せて後部座席に座った。
向かいながら、中村から結婚の報告があった事を伝えると「良かったな」と短い感想を述べた。

そういえば、先日も綾仁くんから久しぶりに連絡が来て、結婚の報告を受けたことを思い出す。あれからオーストラリアで素敵な出会いがあったようで、ビザの関係で何度か日本とオーストラリアを行き来していたようだけど、結婚を期に永住すると言っていて、とても幸せそうだった。
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