甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

「これ、まーちゃん作ったの? かっこいい」

紗幸さんの家に着いた。
5歳になる甥っ子ちゃんが目をキラキラ輝かせて喜ぶ。
頼まれていたのは誕生日ケーキに飾る戦隊ヒーローのアイシングクッキーだ。
「かっこいいね」と紗幸さんも同調する。

しばらくして、送ってくれた顕も用事を済ませたようで、今、終わったから迎えに行くとメッセージがきた。
帰ることを告げると
「えー? まーちゃんもちぃちゃんも帰るの?」と甥っ子ちゃんがトタトタ駆け寄ってきた。

「うん。今日はもうお家に帰らないといけないんだ」
「また来る? 次はいつ?」と車とおもちゃの剣を手にして、愛らしい瞳で私を見上げる。
「すぐ来るよ」
「うん」と頷くと、紗幸さんの方へ駆けて行った。
「真唯子ちゃん、ありがとね。こんな可愛いの作ってくれて」
「こちらこそ、ありがとうございます。喜んでくれて良かったです」

お礼を言って外に出た。
ちぃちゃんは眠っていて、伝わってくる体温も呼吸もとても愛しかった。
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