甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

顕がすぐに迎えに来てくれて、眠っているちぃちゃんをそっとチャイルドシートに乗せた。目を覚まさなかったので、助手席に座る。

「ねえ、海、見て帰らない?」
「海? 寒いのに?」
「うん。少しだけ見たいな」

なんとなくの提案に、仕方ねーなと言いながらも向かってくれるようだ。

顕の用事は洋食屋さんとはまた別に請け負っている制作したボトルシップの納品だった。

「佐伯さん、喜んでくれた?」
「ああ。店に飾るって言ってた」
「すっごく綺麗だったもんなー」と完成した作品を見ていたので、思わず頷いた。横型の大きめのボトルに天然石をあしらった蝶や花が入っていて、モダンレトロなカフェを営む佐伯さんの店にはぴったりのように感じていた。

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