甘いだけの恋なら自分でどうにかしている
そう伝えると、涙が込み上げてきた。
唇をかんで堪える。
彼はチッと舌打ちをして、課長を見る。
「こんな浮気性な女、付き合ったってすぐ裏切られますよ」
そう言うと、私の顔も見ず部屋を出て行った。
「待って、私、課長と付き合って……」
誤解を解こうとするのを、課長が止めた。
「追わなくていいだろ」
「だって課長、付き合ってないのに、誤解されたままじゃ」
「別に困ることじゃねーし。それに、付き合ってると思ったから、すんなり別れられたんだろ。なら、誤解させたままでいいだろ」
「すみません」
「すっきりしただろ」
「えっ?」
「言いたいこと言えて」
「……はい」と頷いた。
本当はもっと前から話をすれば良かったんだ。
いつも彼に罵倒されて、彼の言うことに応えられない自分がダメだと思い込んでいただけだったんだ。
ううん、思い込もうとしていた。
本当は、私を束縛する彼が憎かったのに、そんな自分が醜くて受け入れられなくて、ダメな自分に置き換えてそこを直せばうまくいくかもと思いたかったんだ。
だって、結婚するって伝えたし、もういい年だし、可愛い子と比較して諦めて、女性としての立場を降りてしまっていたくらいの私は、一から恋愛を始める勇気もなかった。
そう気づくと肩の力が抜けて、ようやく彼との別れを実感して、今までくれた優しい思い出が顔を出してくる。
あ、泣く。
さっき我慢した涙が溢れだしてきた。