甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

「課長、なんだか最近楽しそうですよね」と隣にいた若槻が言った。
言われてみれば、今日も自然と和らいだ表情を見ているような気がする。
こんなイベントにも来ることもそうだけど、率先して色々してくれるのも意外だった。
私、課長のこと何も知らなかったんだな。怖いとか決めつけて騒いでいた自分が遠く感じた。

「仕事の毒舌は置いといて、食に関しては神様っす」と中村も焼けたばかりの肉を頬張りながら同調した。
「きりたんぽ作ってくれたら神様なの?」
神様の定義がきりたんぽってと笑っていると、若槻は焼けた肉や野菜を紙皿に取り分け、課長の元へ向かった。

気が利くなと二人の様子を眺めていると
「なんか若槻さんと課長って絵になりますね」と中村が言う。
「え?」
「え? じゃなくて絵っすよ」
「まあ」

言われてみれば。若槻はモデルみたいだけど、課長もスタイルはいいし、顔だってよく見るとすっきり整っている気はする。
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