クールな同期が私だけに見せる顔

彼はいつも通りだった。

拍子抜けするほど、さっぱりとした男前の顔して私を見下ろしている。

きちっと糊のきいたワイシャツに、暑いのにシワ1つない上着もちゃんと着ている。

私が、何も知らないと思ってるのだ。

だから、こんなに普通に声をかけてきたのだ。

私の反応が鈍かったのか、彼は、どうかしたのかと心配そうにのぞき込む。


「なにかあったのか?最近、急に忙しくなったみたいだな」

ここ数日、彼から逃げ回ってたようなものだから、そう言われるのも仕方がない。

私は、彼の目を見たまま、口を動かそうとパクパクさせている。

どうしよう。何も言えない。

省吾の顔見ると、泣きそうになる。

私は、彼から逃げ出さずに立っているのが精一杯だった。

「ええ、そうなの。すごく急いでるの。だから行かなくちゃ」

どうにか、やっと言葉を口にする。

このまま見つめ合ってると、感情に反して、彼の首に腕を回し抱きつきたくなってしまう。

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