クールな同期が私だけに見せる顔
会社を出て、地下鉄に乗り換える。
最寄り駅の改札を出た時、俊介さんから連絡があった。

電話を取り損ねたから、もうすぐ、目的のホテルに着くという所に来て、電話をかけた。

俊介さんは、すぐに電話に出た。

――悪い。時間少し過ぎてしまいそうだ。

――大丈夫ですよ。私も今、着いたところですから。ホテルのロビーで待ってます

――ああ、そうしてくれ。

仕事帰りに、こうして俊介さんが来るのを待つのは、苦にならなかった。

こんなふうに、彼とよく待ち合せした。

俊介さんは、約束したことは必ず守ってくれる。

だから、安心して待っていられた。


遅くなっても、来られなくなるっていう不安はない。

約束した場所で待っていれば、彼なら必ず来てくれる。
彼には、そういう安心感がある。

彼のそばにいると、穏やかでいられる。不安になることって、本当に少ない。
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