クールな同期が私だけに見せる顔

俺は、晴夏の言ってたことを思い出す。

『誠実じゃないのはどうしてもダメ。
これだけはどうしても譲れないみたい。
だから、ごめん、省吾。これまでにしよう』

どういう意味だよ晴夏。

『省吾って、何もわかってないんだね。あなたとは無理なのよ。
私の望むような生活は望めない』

なんでそんな言い方するんだ?

そういって、突き放す前にちゃんとわかるように説明しろよ。

俺が、何をしたって言ううんだ。

俺、そんなに晴夏を怒らせるようなこと言った?

お前、今どこで何してる?


鍵は預けてあるって言ってた。

中谷さんはホテルの戻ってくるだろう。晴夏も一緒だったら、思い直すように説得しよう。

今度はちゃんと向き合うからって。



二人が帰って来た。

食事に行って帰ってきたんだ。

中谷さんが晴夏の背中に手を当てて支えてる。

あいつ、ふらつくまで飲みやがって。

エレベーター待ちのとき、中谷さんが晴夏の体をぎゅっと抱きしめた。

晴夏の扱い方。柔らかい眼差し。

中谷さんも、晴夏のこと取り戻したいと思ってるんだ、

彼も、晴夏の温かさを忘れられないんだろうな。

俺だってそうだ。

中谷さんの顧客を受け継いで、何度も言われたことがある。

『彼はもう、戻ってこないのかね?』
ムカつくけど、人の気持ちをつかむのが上手い人だ。

晴夏は、彼の方がいいって思ったの?
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