フラワーガーデン【アリシア編】

第14節 汽車に乗って

2人で駅まで走り、切符を買うと汽車に乗り込む。

そして2人揃ってシートにもたれ掛かり、はぁはぁと肩で息をし咳き込んだ。

「だから、女の子の、特に君の場合、一人旅は危ないよ」

「……せっ、けほけほっ。先生、あの人に一体何したの?」

「何も?きっと蜂に刺された……んじゃないかな」

「ふ~ん。先生も、刺されたの?」

先生の少し赤くなった手を持ち上げ、目の前に翳す。

「そうかもしれないね」

先生ってばまるで他人事みたいに笑ってる。

少しむくれつつ、私は汽車から窓の外を見ることにした。

えっ!ちょっと待って!
汽車?

「先生!ここ!!」
「このまま一緒にジョージに会いに行こう」
「どうして……」

確か予定だと、夜中に私が屋敷を抜け出して、それを先生が助けてくれて一緒に行くはずだった。

「強引でごめん。でも当初の計画のままだと、僕が知らない間に君は独りで行ってしまいそうで」

先生に言い当てられて、言葉に詰まる。
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