Ri.Night Ⅳ
「凛音、その二人は放っておいていいから早く行け」
「りっちゃん、俺もヤキモチ妬いたから構ってー」
「ジュニア、来ーい、来い来い来い」
「ホラ、ジュニア、陽くんが呼んでるよ。行っておいで」
いつの間にか後ろには幹部の皆様が勢揃いしていて。
どうやら十夜の機嫌が直るのを待っているらしい。
「モタモタしてねぇで早く行ってこい」
「ちょ……!」
嵐ちゃんにドンッと荒々しく背中を押され、機嫌の悪い十夜の元へと行かされる。
ヤキモチで機嫌が悪いのだと分かっているけれど、どうしても近寄るのを躊躇ってしまう。
だって不機嫌オーラが半端ないもん。
顔なんて超コワイもん。
あそこまでコワイとホントにヤキモチで機嫌が悪いのかと疑いたくなる。
「十夜……?」
すぐ目の前まで来たけど顔は上げられない。
視界に映るのは十夜の足。そして、右手。
その右手に手を伸ばすのは勇気がないから、代わりに服の裾を引っ張った。
「……昨日、何回も言ったのに」
そう小さく呟き、チラリと機嫌を窺うように十夜を見上げると十夜も同様にあたしを見下ろしていて。
険しい表情は消えていたけど代わりに真っ直ぐな視線が絡みついてきた。
居た堪れなくなったあたしはその瞳から逃れるように俯き、
「……特別なのは十夜だけだもん」
ポツリとそう零す。
「わっ……!」
言い終わるや否や、裾を掴んでいた手を引っ張られて。バランスを崩したあたしは十夜の腕の中へと倒れ込んだ。
「ちょ、十夜……!」
皆の前なのに……!
当然慌てて身を捩らせるけど力が強すぎて離れない。
「ハーイ、そこまでー」
「……チッ」
突如第三者の手によって引き剥がされた身体。
振り向けば、貴兄が笑顔で十夜を見ていて。
……いや、笑顔だけど頬が引き攣ってる。