時にはケダモノくんなのです





「あ!


あれ、萩野の弟じゃん?」







中庭に向かう途中五十鈴君が遼に気づく。




2年生の私達は教室が2階、1年の遼は教室が1階だ。






1年生の教室の横の廊下を歩いて下駄箱まで歩くことになるから遼がいてもおかしくはない。






「声かける?」





そう言って五十鈴君は私の顔を覗き込む。





声かけたいけど…




かけた所で遼の反応がどんなものか想像がつく…。






「う…ううん…。


このまま中庭行っちゃおう?」





五十鈴君に失礼な態度を取りそうだし…





一昨日から遼とは話してないし…








何となく気まずい…。






「そっか!


また今度ちゃんと時間ある時にでも声かけるか」






五十鈴君は柔らかい笑みを浮かべてそう言ってくれた。






こんなにも五十鈴君は素直な人なのに。





遼はどうして敵対心を持つのか……。








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