君がいる毎日
唯月の体からふっと力が抜けた。
それで今まで唯月の体に力が入っていたことに気づく。

「ゆづ?」

少し体を離して、伏せたままの唯月の顔を下から覗き込むと、唯月は真っ赤な顔を上げてにっこり笑った。
そうすると、両頬にえくぼがくっきりできる。

「子どものころ、ゆづのえくぼがうらやましいなって思っていたの」

えくぼは特別な子どもだけが持ってるって聞いたことがあるんだもの。
だから、唯月が笑うと周りがパッと明るくなるのかもしれない。
左右対称のえくぼを指先でなぞると、唯月はくすぐったそうに笑う。

「ふうちゃんが欲しいならあげるのに」

そんな無茶なことを言って、唯月は私の頬に唇を寄せた。
頬からこめかみ、耳たぶ、首筋、それから唇。

「ふうちゃん」

わずかに離れた唇が私の名を呼ぶ。

「ん?」

「俺と……け……」

「け?」

「……だめだ! 緊張する!」

唯月はパッと私から離れると、ベッドに潜り込んで頭からタオルケットをかぶってしまった。

「なになになになに!?」

タオルケットをめくって、唯月の横に潜り込むと、唯月は「あー」とか「うー」とか言いながら、私をぎゅうぎゅう抱き締めた。

「痛い痛い!」

唯月は私にもう一度、キスの雨を降らせる。

おでこ、鼻の頭、頬、こめかみ、耳たぶ、首筋、鎖骨。
それから唇。

息もできないくらい、キスをして。
キスの合間にくすぐりあって笑う。

まるでおとぎ話の世界。

これが、君がいる毎日。






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