猫柳の咲く季節に



それからというもの、私は毎日、図書館へと足を運んでいた。


また、会えるかもしれない。


柏木くんに会えるかもしれない。


そう思っていたからだ。


誰かに会いたいと思ったのはいつぶりだろう。


ここ何年も考えたことはない。


でも今は、会いたいと思える相手がいる。


それだけでなんだか嬉しかった。


だけど、そんな私の淡い思いは虚しく、柏木くんに会えたのはあれっきりだった。


図書館にはもうこないのかな、なにかあったのかな。


そんな思いがつのるばかりで胸が苦しい。


< 14 / 514 >

この作品をシェア

pagetop