猫柳の咲く季節に


すると、柏木もそれに気付いたようで、手を握り返してくれた。


「拓海をよろしく」


曇りのない、まっすぐな目で、強く訴える。


私のさっきの言葉に答えなかったのは、当たり前だ、ということなのかな。


それが、当然のことって意味なのかな。


まあ、なんでもいい。


柏木なら、大丈夫だから。


だから私も、笑って、何も答えないことにした。

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