猫柳の咲く季節に

「悪いけど、拓海には謝らせない」


「……は？」


なんでだ、と疑問に思っていると、再び真剣な表情で言った。


「俺だって、拓海にいっぱい迷惑かけたんだから、おあいこでしょ？」


「……え？」


「今さら謝られても、こっちが困る」


今度は、少し微笑んで言った。


なんだそれ…


せっかく、勇気出して、過去の話したっていうのに。


「それに、仲直りは、このイベントの成功ってことでいいでしょ？」


すっと差し出された伊月の右手。


まあ、これも伊月らしいっちゃらしいかな。


開いた手のひらに自分の手を重ね合わせてそんなことを考えた。