猫柳の咲く季節に


「じゃあ、これで解散します。短い間でしたが、ありがとうございました」


柏木くんが大声で呼びかける。


その一言で、やっと終わったんだって実感した。


大変だったけど、やって良かったなと今ではすごく思う。


なんてことを振り返っていると、私の名前が呼ばれた気がした。


「…佐川さん」


切なそうな、それでいて、どこか申し訳なさそうで、複雑な表情をしている佐川さん。


「どうかしたんですか?」


「やっぱり、謝りたくて。あのときのこと…」


あのとき。


それで思い浮かぶのは中学生のころ。


ずっと、胸に引っかかるものがあったけど、今ではそれも、かなり楽になった。

< 471 / 514 >

この作品をシェア

pagetop