猫柳の咲く季節に



あの明るい入谷くんが暗いトーンで話すなんて、普段見ないから、本当に困っていることが分かる。


それもそうだよね。


誰でも、文化祭は楽しみたいと思うはずだから。


「私も、1時間空いていて、どうしようか迷っていたところなんだ」


「え!まじ!?」


「……うん」


「じゃあ、永瀬の友だちが来るまででいいから、一緒にまわらせて!」


入谷くんは手のひらを強く合わせた。パチンと大きく響く。

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