強引社長の不器用な溺愛
篠井と三度目のキスをしたのは、先週の水曜だ。うちの兄貴と会った篠井が、俺を探しにバーに来てくれて……帰り道にキスをした。

『やっと、またキスできた』

そんなことを言っちゃって俺ってば。
なんだかめっちゃ篠井とキスしたかったみたいじゃん。
恥ずかしい男だな。

でも、あの時、なんだか篠井といろんな気持ちが通じたみたいで、嬉しかったんだ。
俺を拒否ったり、怒ったり忙しかった篠井が、俺とその家族を慮って、優しい瞳で見つめてきた。
それが、ものすごく嬉しかった。

キスはまたしても勢いだったけど、今回は後悔してない。
やっちゃったとは思うけど、やめときゃよかったとは思わない。

それに今回は篠井の態度が違う。
キスの後はぎくしゃくがここ最近の流れだったのに。篠井は機嫌がよく、態度に変なところはない。

キスする前に戻ったみたいだ。

なんか……今の俺たちよくないか?
仕事上の信頼関係と同時に、少しだけ男女としてお互いを知っているっつうか。

いや、俺、落ち着け。

篠井は現在、清塚さんっつうイケメンと恋愛になるかならないかってところだ。

詳細は聞いていないけれど、堂上経由の情報だと『好意は感じるが、付き合うかは不明』ってトコらしい。

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