強引社長の不器用な溺愛
私は社長がデザインを作る間に、プレゼン用資料と、区役所に出す書類を作ることになった。

今回の仕事は駅前の大看板に出す不動産広告。
外看板は仕事をくれる代理店、親の不動産会社、区役所や地域の団体など、方々に提出するものが多い。

しかも媒体が大きすぎて、うちと提携の製作所では作れないのだ。
だから、締め切りがタイトだっつうのに、なんでこういう仕事を忘れちゃったのかなぁ!

社長は、芸術系の学部にいる間に経営に興味が出てきちゃって起業したヤローなので、本職はデザイナーだ。
普段は周囲に仕事を振りまくっているけれど、どうにもならなくなるとこうしてひとり深夜に本業を頑張ることになる。

まあ、だいたいのところ、私がサポートについて脇の書類を作ったりするんだけどね。

お互い文句を言い合うのも封印し、黙々と仕事をすること3時間。
オフィスには社長と私しかいなくなっていた。
少人数でアットホームで、全員なんだかユルイこの会社。
社員たちは自分の業務が片付くと「じゃ、お先失礼します~。ファイトで~す」と社長と総務を置いて帰ってしまった。

いいけど!
私だって、逆の立場ならそうするし!

オフィスの電気を半分消し、省エネモードにする。
逆に、エアコンは設定温度を上げた。12月の夜だ。結構冷え込む。
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