強引社長の不器用な溺愛
「好きだ、絹。俺の嫁さんになって」


「24時間勤務ですね。やぶさかではないです」


「俺の仕事を支えまくって、俺の子どもを産みまくってくれ」


「了解しました。善処します」


篠井が事務的に言って、自分から俺の首に腕を回してきた。
キスは一瞬だった。触れておしまい。感触を味わう間もない。


「絹、足りない」


「たっくさん人が歩いてるのでこれ以上は無理です!」


真っ赤な顔の篠井は俺をぐいーっと押しのけ、先に立って歩き出してしまう。

まあ、いいか。
たぶん、こいつなりに精一杯のサービスだったんだろうと納得する。

ありがとう、受け取るよ。
そして、後悔させないように大事にする。


「じゃ、続きは人気のないところで」


追い付いて、耳元でささやくと、篠井の頬の赤味が耳にまで達した。




< 230 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop