強引社長の不器用な溺愛
大沢キノコ農園のサプリメントプロジェクトは、安野産業と八束デザインに戻ってきた。
と言っても、表向きには何の動きもなかったことになっている。

担当の行方さんから、副社長側の動きが完全にストップしたという連絡を受けただけ。
真相を知っているのは、ごくわずかの人間だ。

それについては本当にホッとしている。



あの日、どさくさまぎれに想いを伝えちゃったけど、こうして約一週間、今までとあまり変わるところもない。
会社ではまだ何の報告もしていない。

それぞれの親が乗り込んでくる事件もあったので、みんなからは色々からかわれる。
そのうち機会を見て報告することになるんだろう。

仕事はいつも通りだ。

しっちゃかめっちゃかにかき回すこの人の面倒を、私を中心に全員で見るというお決まりの流れね。

恋愛しながら、こんなに通常運転ができるなら、悩むまでもなかったかもなぁ。


「絹」


「なんですか?東弥さん」


強いて言うなら、二人っきりの時、呼び方が変わったくらいだろう。
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