自殺列車
「俺の名前は高橋明樹(カタハシ トモキ)16歳、谷原高校の2年だ」


「なぁんだ、16なんてガキじゃない」


愛奈がそう言い、明樹が「なんだと!!」と、怒鳴る。


この2人、相当相性が悪そうだ。


「怒らない怒らない。次は、君」


旺太が2人の間に割って入り、小柄な女の子を指名した。


「あ、あたしは中野澪(ナカノ ミオ)です。青空学園、高等部の2年生で16歳。澪、でいいです」


青空学園って聞いたことがある。


県内でもかなり優秀な生徒が集まる学園で、幼稚園から大学までのエスカレーターだ。


あたしは目を丸くして澪を見た。


目立たない雰囲気をしているから、超エリートには見えなかった。


もちろん、いい意味で。


最後に残った色白の男の子に、自然とみんなの視線が集まった。


「俺は池田優志(イケダ ユウシ)っていいます。15歳だけど、学校は行ってません」


「なんで? お前は愛奈と違って真面目そうなのに」


すかさずそう聞くのは明樹だ。


人には話したくない事だってあると言う音を、全く理解していないようだ。


優志は困ったような笑顔を浮かべ、その場誤魔化した。


とにかくみんなの名前や年齢がわかったから、会話もしやすくなった。


年上の人もいるけれど、この状況で敬語は必要なさそうだ。


自己紹介を終えたあたしたちは、また窓へと視線を向けた。


問題は、このメンバーでどうやってここを切り抜けるか、だった……。
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