自殺列車
☆☆☆

その衝撃は数分の間に収まっていた。


気が付けば揺れは止み、周囲は静かになっている。


「今の……なに?」


誰かが不安そうな声を出したので、あたしはようやく椅子から顔を上げた。


見ると、乗っていたほぼ全員がその場に立ち上がり、唖然とした顔で窓の外を見ている。


一体なにがあったんだろう?


あたしは同じように視線を窓の外へと向けた。


その瞬間……真っ黒な闇が見えた。


窓の外に今まで広がっていた景色はどこにもなく、夜よりも更に深い闇がそこに存在していたのだ。


夜なら、目を凝らせばまだ室内の様子を伺う事ができる。


だけど、外に広がっている闇は一寸先も見えないままだ。


深い深い闇を目の当たりにしたあたしは、慌てて席を立って窓から離れた。
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