自殺列車
「どうなってんだよ……」


あたしの隣に立っていた金髪頭の背の高い男が呟く。


それに対して返事をする人は誰もいなかった。


誰もがこの事態に唖然としているばかりだ。


「これじゃ走ってるかどうかもわからないね」


そう言ったのは、小柄な女の子だった。


色白で、今にも倒れてしまいそうなほど細い。


「停まってるんじゃないか? 走っているような揺れを感じない」


女の子の言葉に返事をしたのは、優しそうな雰囲気をした男の子。


栗色の髪がフワリと揺れている。


「停まってるなら、ここはトンネルの中ってこと?」


そう言ったのは、赤い髪をしたとても派手な見た目の女の子だった。


口には沢山のピアスをつけているけれど、たぶんあたしとそんなに変わらない年齢だ。


「トンネルの中なら、トンネルの壁くらい見えるはずだよ」


そう答えたのは、色白で華奢な男の子だった。


子の中では一番年下のように見えるけれど、目の下にはクマがあり疲れた顔をしている。


「と、とにかく。みんな怪我はないですか?」


あたしは周囲を見回してそう聞いた。
< 8 / 222 >

この作品をシェア

pagetop