海色の恋、甘い時間
黄原君が、重そうに口を開く。

「俺が、ガマン出来なかったんだ。
俺は、瀬田程に、彼女を思いやれてなかったんだな……」

「無理矢理押し倒すことに、思いやりなんて、ひとつもないよ!」

わたしはついカッとなって、強めの口調で言ってしまった。
昨日のうみちゃんみたいに、怒りを露にするわたしに、黄原君は驚いた表情を浮かべた。

「も、桃瀬さんも、そうやって怒ること、あるんだ……」

わたしはその言葉に、少し冷静になった。

「うん、昨日知ったんだけど、そうみたい。
親友のこととなると、わたしだって怒るよ?」
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