1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

 しばらくすると落ち着いたのか、清牙は離れたけど、まだ目は真っ赤で、そんな姿を見たことがなかったから、ちょっとだけかわいいなんて思ってしまった。

「失望したか」

「ぜ~んぜん?むしろ、ほっとした。清牙何にも言わないんだもん。私、幼馴染なのに知らなかったんだよ?」

「言わなかったからな」

「清牙、男だからって全部溜め込まなくていいのよ。むしろ、頼って?家族になるんでしょ?つらいことだって私は受け止めるわ」

「…ありがと。桃」

「うん」

 そっと抱きしめられて、優しいキスが降ってきた。

 こんなところまで労わるなんて、もうちょっと激しくてもいいのにね。

 でも、よもが起きちゃうかもしれないから、これでも十分満足。

「ねぇ、清牙。幸せになろうね」

「…あぁ。幸せにするよ」

「するじゃなくて、一緒になるのよ」

「桃には敵わないな」

 今度は私からのキス。清牙よりちょっと乱暴に。
 これくらいしたっていいんだからねって、ちょっとした意味も込めておく。

 お返しだって、返されたキスはもうちょっと甘酸っぱかった。
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