1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「蓬、お前…」

「あきくん、ごめんなさい。怒ってたの、これが理由なんですよね」

「ッ…ごめん、八つ当たりした」

「いいです。…でも、話してくれないってきついですね」

「…蓬」

 あきくんの方は見ないまま口を開く。ただ蹴っただけの2人が早くも復帰してしまいました。

 どうしよう、ここから先考えてないです…。

「てめぇ、ただで済むと思うなよ」

「…飛び込んできた時点で、そんな甘いこと考えてません」

「そうか、なら一緒に来てもらうか?」

「嫌です」

 捕まらない。若さんが来るまで、何としてでも持たせなきゃ。

 背後であきくんが立ち上がる気配がする。2人なら、何とかなるかもしれない。

「大人しくしやがれ!!」

 手を伸ばしてきた人の手を逆に引っ張って背に負う。

 あきくんが咄嗟に避けてくれたので、階段に向かって振り落す。

 完全に背を向けた状態で、もう1人が迫ってきましたが、あきくんが止めてくれる。その間に振り返って、やっぱり狙うは急所。

 遠慮もなく思いっきり蹴っ飛ばしました。
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