天使は唄う
美しき天使
月が見下ろす美しい景色。
「さぁ、始めましょう。」
にっこりと笑う女。
「貴方とは初対面だけど、話は聞いてる。」
もうひとりの女が笑う。
「纏めて地獄へ還してやろう。」
天使は冷静だ。


——時は遡り、遠い昔

今の神が目覚める前

以前の神の世界

所謂、神話の世界

楽園にはアダムとイブ

そして、蛇

知恵の実を食べるように唆した蛇により2人は楽園を追われた。

そういう神話がいくつも連鎖し、天使や大天使などの役割が決められた。

やがて、神話の世界から変化した今の世界へ移り変わることになった。

神は言った。
「汝の新たな神を此処に。」
そして、死んだ神は光となり、散り散りになり、選ばれた生き物へ力を与えた。
今の天使や罪人にはその神が宿っているとも天界では考えられた。

今の神が生まれ、目覚めるには時間が必要だった。

その間に統率したのは4人の天使

ミカエル

ラファエル

ガブリエル

ウリエル

その4人だった。
その最中に悪魔が現れた。
天使が戦い、悪魔を払ったが、ウリエルが悪魔との戦いで死んだ。
目覚めた神はそれを嘆き、後継を考えていた。

「そういうわけで。俺がお前を後継候補として鍛えることにした。」
「私は、別に。」
偉そうな仏頂面の男に美しい男は言う。
少年のような青年のような曖昧な男。
彼の髪は地面につくほど長く、戦う兵士よりも人形だと形容する方が納得できるくらいだ。
「ミカエルは忙しいと聞いている。私に構っている場合ではない筈だ。」
「もしかして、拗ねているのか?」
ミカエルと呼ばれた男は首を傾げる。
「何処の情報だ?それは。」
「メタトロンが言ってたぞ。“キャロルが拗ねてる”と。」
「……冗談はその髭だけにしろ。」
キャロルと呼ばれた男が髭面を指して言う。
「そういう態度を誰にでもとるから友達が居ないのだ。キャロット。」
「キャロルだ。ミカンと呼ぶぞミカエル。」
「そうそう。いい調子。言葉のキャッチボール、よく出来ました。」
「巫山戯るな。」
仏頂面のままで抑揚なく言うミカエルにキャロルは言う。
「大体、私にはそんな資格が無い。罪人と変わらないのだから。」
キャロルは目を伏せる。
「知っているだろう。どんな役目をしているか。」
「堕天使狩りか。」
ミカエルはキャロルを見る。
「解っているなら他をあたれ。」
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