あなたがすき
夏の終わりの花火
受験生にとって、勉強以外は無駄といっても過言ではない。
学生にとって、本業は勉強で恋愛なんて、無駄な時間だ。

なんてずっと思ってた。

たぶんそれは、怖かったから。誰かに好意を持ったとして、受け入れられなかったら、というのが怖かった。

だから、今の状況にどうしたらいいか、さっぱり分からない。

「塾の屋上、実はよく見えるんだな。」

夏の終わりの花火を、休憩時間に眺めていた。

チャイムが鳴って、名残惜しさにかられながら教室に戻ろうとしたら、誰かに手をつかまれた。

え?と思ったら、そのまま引き寄せられた。いつも隣の席に座っていた橘くんだった。

「少しだけ、いい?」

後ろからぎゅっとしてきた。

どうしたらいいか、というか、なんで?

私なんか、メガネで地味なブスだよ。

「ずっとこうしたかった。」
「はい?」
「好きだ。」

信じていいかな?恋愛は無駄じゃないって。
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