何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
動き出した闇
学校を出て駅に向かっている途中


私の目の前に1台の黒い車が止まった。
高そうなその車に見覚えがあった。



「うそっ……」



理解すると同時に背中には冷や汗が流れる。


ドクンドクンと嫌な胸騒ぎがする中、ゆっくりと車の扉が開いた。
そこから出てきたのは……。
想像通りの人だった。



「拓哉さん……」



目の前には嘗て私は愛した人が立っていた。
前に会った時と何ひとつ変わらない。


格好良い外見も、完璧なスタイルも、冷たい瞳も。



変わったのは私の心だけ。
拓哉さんを見た瞬間、私の体は小刻みに震え始めた。



「梓沙……会いたかった」

「あっ……いやっ……来ないでっ……」



カツカツと足音が私へと近づいてくる。
逃げようとしても恐怖で足がすくんで動けない……。
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