何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「言っただろう?
キミは逃げられないって……」



怪しく笑うその声は私のものでも拓哉さんのものでもなかった。
車から出てきたもう1人の人、それは……。



「お義兄さん……」



拓哉さんのお義兄さんだった。
怪しく笑うその顔には光がない。
恐ろしいくらいの笑みに私は体を強張らせた。



「キミだけ自由になるなんて許せない。
キミは僕と同じ運命を辿るんだよ……柊家でね」



お義兄さんが言い終わるのと同時に私の体は抱きしめられる。
私が好きなスパイシーな香りじゃなくて、私の心を痛めつけた香りと共に……。



「もう……離さない……絶対に」



妖艶な声に私は目の前が真っ暗になった。


もう……終わりだ。
何もかも……。

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