何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
自分を楽にしてあげて
翌日



私は1人である場所に来ていた。
そこは遥斗の母校でもあり、遥斗と九条さんが出逢った場所。


“北星大学”だ。



大きなキャンパス内をゆっくりと歩く。
日曜日の為、講義はないのだろう。
静かな空間が私を包み込んでいた。


ココで遥斗は4年間を過ごしたんだ。


私が知らない時代の遥斗を思い浮かべながら、隅から隅まで歩きつくす。


そして……。
カフェテリアの1番隅の席に私は腰を下ろした。


この席は遥斗と九条さんの特等席みたいになっていたらしい。
2人がチェスをする時は必ずここでやっていたみたいだ。



「……」



私は目を閉じて2人の大学時代を思い浮かべる。


どんな風に一緒に過ごしたのだろう。
どんな風に話していたのだろう。


そして……
九条さんはどんな想いで遥斗の前から姿を消したのだろう。


私には……
なんとなくだけどその気持ちは分かる。
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