何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
サヨナラの時
病院に着き、遥斗と別れた私は拓哉さんの元へと急ぐ。
拓哉さんの病室の前には疲れた顔のお義兄さんがいた。



「お義兄さん……」



声を掛ければ、ゆっくりと私の方を向いた。
お義兄さんの体は震えていて、弱々しい顔で笑ったんだ。



「梓沙ちゃん……ごめん……」



お義兄さんはそう呟くと、いきなりその場で正座をして深く頭を下げた。
いわゆる、土下座だ。
意味が分からず、止めさせようとしてもお義兄さんは止めようとはしなかった。



「何でこんな事……」



私が尋ねればお義兄さんは土下座の体勢のまま話し出す。



「キミが拓哉の事を、もう好きじゃない事は分かっている。
だけど!お願い……拓哉の傍にいてあげて……!
これ以上……拓哉が壊れる姿は見たくないんだっ!!」



必死に頭を下げ続けるお義兄さんを見ていると、それ以上何も言えなくなってしまう。


そんな私にお義兄さんはゆっくりと説明してくれる。
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