何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「意識が戻ってからずっとあぁやってキミを呼んでるんだ。
拓哉には……キミが必要なんだよ。
梓沙ちゃんじゃなきゃダメなんだ……拓哉の目にはもう……キミしか映っていない」



お義兄さんはそう言うと再び私に頭を下げる。



「お願いします。
拓哉の傍でアイツを支えてやってくださいっ……」



泣きそうなその声に何か答えなくてはいけない。
そう思っているのに、私は何も言えなかった。



「……」



1歩ずつ歩き出す。



「梓沙!!梓沙!!」



何度も何度も私の名前を呼ぶ彼の元へと近づく。

私に気付く様子もなく、ただ私の名前を呼んでいた。



「あっ……」



拓哉さんを押さえていた1人が私に気が付くと、全員が拓哉さんから離れていく。


そして、遮るものが何もなくなり、拓哉さんの目が私を捕えた。
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