何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「梓沙ちゃん」

「あっ、お義兄さん。
こんにちは」



拓哉さんと話していれば病室にお義兄さんが入ってくる。
ここの病室を訪れるのは私とお義兄さんくらいだ。
まぁ私に至ってはここに住んでいるみたいなものだけど。
豪華な病室は住むにも不自由がなかった。
トイレもお風呂もついているし……。



「拓哉、そう睨むなよ」

「何の用だ」



拓哉さんは私の肩を強く抱くとお義兄さんを睨みつけていた。
拓哉さんの嫉妬や束縛は相手がお義兄さんであっても関係ない。
痛いくらいの力に顔を歪めればお義兄さんの顔は哀しみに満ち溢れていく。



“私は大丈夫ですから”


心で呟き無理やり笑顔を作ればお義兄さんは決意した様に私たちに近づいてきた。


そして……。



「拓哉、梓沙ちゃんを少し借りるよ」

「許可できない」

「お前の許可は必要ない」



そう言ってお義兄さんは私の手を無理やり引っ張った。
そしてベッドに座っていた私の体は地面へと降りていた。



「梓沙!!」

「みんな、後は頼んだよ!!」



お義兄さんが叫ぶと病室に柊家のSPたちとお医者さんが入ってきた。



「行くよ、梓沙ちゃん」

「え……でも……」



後ろから聞こえる叫び声に気を掛けながらもお義兄さんに引っ張られるせいで私の体は病室を出てしまう。
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